「WBSを作って」と言われて、「何それ?」となった経験はありませんか?
WBSはプロジェクト管理の基本中の基本ですが、略語だけが独り歩きしていて、意味や作り方を体系的に学ぶ機会は意外と少ないです。
この記事では、WBSの意味からタスク分解のコツ、具体的な作成例まで、実務で使えるレベルで解説します。
👉 WBSを入力してガントチャートに展開するにはガントチャート作成ツールをご利用ください。
WBSとは
WBSは Work Breakdown Structure(ワーク・ブレイクダウン・ストラクチャー) の略で、日本語では「作業分解構成図」と訳されます。
やっていることはシンプルで、プロジェクトの成果物を「大→中→小」に分解して、作業の全体像をツリー構造で整理する手法です。
プロジェクト
├── 設計
│ ├── 要件定義
│ ├── 画面設計
│ └── DB設計
├── 開発
│ ├── フロントエンド実装
│ ├── バックエンド実装
│ └── API連携
└── テスト
├── 単体テスト
├── 結合テスト
└── ユーザーテスト
WBSを作る目的は次の3つです。
- 作業の漏れを防ぐ — 「あ、この作業忘れてた」を事前に潰す
- 見積もり精度を上げる — 大きな塊より、小さな作業単位の方が正確に日数を見積もれる
- 担当の割り振りを明確にする — 誰が何をやるのかをタスク単位で決められる
WBSとガントチャートの違い
WBSとガントチャートはセットで使われることが多いですが、役割は別です。
WBS = 「何をやるか」を整理するリスト
プロジェクトの作業を階層的に分解したもの。時間軸はありません。「設計→開発→テスト」のように作業の構造を整理するのが目的です。
ガントチャート = 「いつやるか」を示すスケジュール図
WBSで洗い出したタスクに開始日・終了日を付けて、横棒で時間軸上に配置したもの。進捗の可視化が目的です。
つまり、WBSで作業を洗い出す → ガントチャートでスケジュールに落とし込む、という順番で使います。WBSなしでいきなりガントチャートを作ると、タスクの漏れや粒度のバラつきが起きやすくなります。
ガントチャートの詳しい解説はガントチャートとは?作り方ガイドをご覧ください。
WBSの作り方(3ステップ)
ステップ1 — プロジェクトの成果物を定義する
最初に「このプロジェクトで何を完成させるのか」を明確にします。
悪い例:「Webサイトを作る」 良い例:「コーポレートサイト(トップ・会社概要・採用・問い合わせの4ページ)をリリースする」
ゴールが曖昧だと、分解の方向性がブレてタスクが際限なく増えていきます。
ステップ2 — 大カテゴリに分解する
成果物を3〜6個の大カテゴリ(フェーズ)に分けます。
分け方にはいくつかのパターンがあります。
- 工程で分ける — 企画 → 設計 → 実装 → テスト → リリース
- 成果物で分ける — トップページ / 会社概要ページ / 採用ページ / 問い合わせフォーム
- 担当チームで分ける — デザイン / フロントエンド / バックエンド / インフラ
どれが正解ということはなく、プロジェクトの性質やチーム構成に合わせて選びます。迷ったら工程で分けるのが最もシンプルです。
ステップ3 — 作業レベルまで分解する
各カテゴリをさらに具体的な作業に分解します。ここがWBSの肝です。
分解の深さの目安は**「1人が1〜3日で完了できる粒度」**。これより大きいと進捗が見えにくくなり、これより小さいと管理コストが増えます。
分解の完了条件には「100%ルール」という原則があります。親タスクの作業 = 子タスクの作業の合計になっていること。つまり、子タスクを全て完了すれば親タスクも完了する状態です。
子タスクに漏れがあると100%にならず、プロジェクト途中で「この作業、誰もやってない」という事態が起きます。
👉 WBSが完成したらガントチャート作成ツールにタスクを入力すると、そのままスケジュールに展開できます。
WBSの具体例
例1:Web制作プロジェクト
| カテゴリ | タスク | 目安日数 |
|---|---|---|
| 企画 | ヒアリング・要件整理 | 2日 |
| 企画 | サイトマップ作成 | 1日 |
| 企画 | 見積もり・スケジュール提出 | 1日 |
| デザイン | ワイヤーフレーム作成 | 3日 |
| デザイン | デザインカンプ作成 | 5日 |
| デザイン | クライアントレビュー・修正 | 3日 |
| 実装 | HTML/CSSコーディング | 5日 |
| 実装 | JavaScript実装 | 3日 |
| 実装 | CMS組み込み | 3日 |
| テスト | ブラウザテスト | 2日 |
| テスト | クライアント確認 | 3日 |
| リリース | サーバー設定・公開 | 1日 |
| リリース | 公開後チェック | 1日 |
例2:イベント企画
| カテゴリ | タスク | 目安日数 |
|---|---|---|
| 会場 | 会場候補のリストアップ | 1日 |
| 会場 | 会場下見・予約 | 3日 |
| 会場 | レイアウト決定 | 1日 |
| 集客 | 告知ページ作成 | 2日 |
| 集客 | SNS・メール告知 | 2日 |
| 集客 | 参加者管理(受付リスト) | 1日 |
| 制作物 | スライド作成 | 3日 |
| 制作物 | 配布資料の印刷 | 2日 |
| 制作物 | 名札・受付表の準備 | 1日 |
| 当日 | 会場設営 | 0.5日 |
| 当日 | 受付・運営 | 1日 |
| 当日 | 撤収 | 0.5日 |
| 振り返り | アンケート集計 | 1日 |
| 振り返り | 報告書作成 | 2日 |
例3:新人研修の準備
| カテゴリ | タスク | 目安日数 |
|---|---|---|
| 計画 | 研修カリキュラム作成 | 3日 |
| 計画 | 講師アサイン・依頼 | 2日 |
| 計画 | 会議室予約 | 0.5日 |
| 資料 | 研修テキスト作成 | 5日 |
| 資料 | 社内システムの操作マニュアル更新 | 3日 |
| 資料 | 印刷・製本 | 1日 |
| 環境 | PC・アカウント発行 | 2日 |
| 環境 | 座席配置の決定 | 0.5日 |
| 実施 | 研修の実施(5日間) | 5日 |
| フォロー | 理解度テスト・フィードバック | 2日 |
座席配置の決定には座席表作成ツールも活用できます。
タスク分解のコツ
動詞で始める
タスク名は「設計」ではなく「画面設計を作成する」のように動詞で書くと、何をすればタスク完了なのかが明確になります。
良い例:「ワイヤーフレームを作成する」「ブラウザテストを実施する」「レビュー結果を反映する」
名詞だけだと「設計」のタスクが「設計を考えること」なのか「設計書を書くこと」なのか曖昧になります。
完了条件を決める
各タスクに「何をもって完了とするか」を決めておきます。
- 「デザインカンプ作成」の完了条件 → クライアントからOKをもらった状態
- 「テスト」の完了条件 → テスト項目を全件実施し、NGゼロの状態
完了条件がないと、「まだ終わってない気がする」とズルズル作業が続き、工程が遅れます。
分解しすぎない
「メールを送る」「ファイルを保存する」のようなレベルまで分解するのはやりすぎです。管理コストの方が高くなります。
迷ったときは「このタスクの進捗を上司やチームに報告する必要があるか?」と考えてみてください。報告する必要がないレベルの作業は、親タスクに含めてしまって構いません。
開発者ノート
WBSの作り方を解説する記事は多いですが、テンプレート(具体例)が充実しているものは意外と少ないです。「Web制作」「イベント企画」「新人研修」の3パターンを載せたのは、読者が自分のプロジェクトに近い例を見つけて、そのままタスクをコピーして使い始められるようにするためです。
curythm.comのガントチャート作成ツールにも「Web制作プロジェクト」「イベント準備」のテンプレートを内蔵しているので、WBSで洗い出したタスクをそのまま入力すれば、5分でガントチャートが完成します。
— nor(キュリズムラボ運営)
よくある質問
Q. WBSとは何の略ですか?
Work Breakdown Structure(ワーク・ブレイクダウン・ストラクチャー)の略で、日本語では「作業分解構成図」と訳されます。プロジェクトの作業を階層的に分解して整理する手法です。
Q. WBSとガントチャートの違いは?
WBSは「何をやるか」を整理するリスト(構造)で、ガントチャートは「いつやるか」を示すスケジュール図(時間軸)です。WBSで作業を洗い出し、ガントチャートで時間軸に展開するのが理想的な流れです。
Q. WBSのテンプレートはありますか?
この記事に3つの具体例(Web制作・イベント企画・新人研修)を掲載しています。また、ガントチャート作成ツールにもテンプレートが内蔵されており、タスクを入力するだけでWBS+ガントチャートが自動生成されます。
Q. タスク分解はどこまで細かくすべき?
「1人が1〜3日で完了できる粒度」が目安です。それより大きいと進捗が見えにくく、それより小さいと管理コストが増えます。「上司に進捗報告する必要があるか」を判断基準にすると分けやすいです。
Q. WBSからガントチャートに展開する方法は?
ガントチャート作成ツールにWBSのタスクを入力し、各タスクに開始日・終了日を設定すると、自動でガントチャートが生成されます。Excel・PNG・PDFで出力可能です。
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