請求書を毎月1〜2枚しか発行しないフリーランス・個人事業主の方向けに、ブラウザだけで請求書・見積書を作成できる無料ツールを公開しました。インボイス制度対応・源泉徴収・複数税率に対応しており、登録不要・PDF出力可能です。
この記事では、請求書ツールの使い方を画面の流れに沿って解説します。
請求書ツールでできること
月額制クラウドサービスを契約するほどではないけれど、Excelテンプレートで毎回フォーマットを整えるのは面倒——という温度感のフリーランス向けに作りました。主な機能は次のとおりです。
請求書・見積書のワンクリック切替
入力内容を保持したまま、見出しが「請求書」⇔「御見積書」、日付項目が「支払期限」⇔「見積有効期限」のように切り替わります。同じ案件の見積書と請求書を続けて作るときも入力し直し不要です。
適格請求書(インボイス制度)対応
登録番号(T+13桁)を入れると、適格請求書の必須6項目(後述)をすべて満たしたPDFが出力されます。未入力なら通常請求書として出力されるので、免税事業者の方もそのまま使えます。
3テンプレート(封筒窓対応 / PDF送付用 / 印鑑スペース付き)
メール添付・郵送・印鑑送付の3パターンに対応するレイアウトを用意しています。デフォルトは「PDF送付用」です。
内税・外税・源泉徴収・複数税率の自動計算
10%と8%(軽減税率)の混在、内税/外税の切替、源泉徴収の自動計算(100万円超の累進にも対応)、端数処理(切り捨て/切り上げ/四捨五入)まで、画面上で完結します。
電子印影(テキスト生成 + 画像アップロード)
氏名や屋号を6文字以内で入力すると朱色の二重丸の電子印影をリアルタイム生成。スキャン済み印影画像のアップロード(最大1MB)にも対応しています。
PDF出力(A4縦)
ブラウザ内でA4縦のPDFを生成してダウンロード。サーバーへの送信はないので、宛先や金額が外部に残る心配はありません。
発行者情報のブラウザ自動保存
氏名・住所・登録番号・振込先などの発行者情報はブラウザのlocalStorageに保存され、2回目以降は開いた瞬間に自分の情報が入った状態でスタートできます。
使い方(5ステップ)
ここからは、実際に1枚の請求書を作る手順を5ステップで解説します。所要時間は初回で3〜5分、2回目以降は2分前後です。
ステップ1 — 書類タイプとテンプレートを選ぶ
ツールを開いたら、まず画面上部の書類タイプを「請求書」「見積書」から選びます。デフォルトは請求書です。
次にテンプレートを選びます。
- A: 封筒窓対応 — 印刷して長3封筒(窓付き)に入れて郵送する場合に使います。宛名の位置が封筒の窓(90×45mm)に合うよう固定されています。三つ折り位置を意識した余白設計です。
- B: PDF送付用 — メール添付・チャット送付向けのモダンなデザイン。デフォルトはこちらです。画面で見ることが前提なので、余白を広めに取って視認性を重視しています。
- C: 印鑑スペース付き — 印刷→物理印鑑を押印→スキャン送付や手渡しに使うケース向け。発行者名の右横に朱色の点線円(直径約20mm)が描画され、ここに物理印鑑を押すレイアウトです。
迷ったら、まずはBのまま進めてください。あとから切り替えても入力内容は失われません。
ステップ2 — 発行者情報を入力する
自分側の情報を入力します。
- 氏名 / 屋号 / 会社名(必須)
- 郵便番号・住所・電話番号・メールアドレス
- 登録番号(T+13桁、任意) — 適格請求書発行事業者の登録番号。Tプレフィックスは自動付加されます。未入力なら通常請求書として出力されます。
- 振込先銀行 — 銀行名・支店名・口座種別(普通/当座)・口座番号・口座名義
このセクションに入力した内容は、ブラウザのlocalStorageに保存されます。「次回からブラウザに自動入力されます」のメッセージが表示されるので、2回目以降は開いた瞬間に自分の情報が入った状態でスタートできます。共有PCをお使いの場合は、ツール上部の「保存データを削除」ボタンからいつでも消去できます。
ステップ3 — 宛先と品目を入力する
取引先の情報を入力します。
- 宛名 — 会社名または氏名。末尾の「御中」「様」はオプションで自動付加できます
- 部署名・担当者名(任意)
続いて品目を入力します。デフォルトでは1行だけ表示されているので、必要に応じて「+行を追加」ボタンで増やしてください。
1行に入力する項目は次のとおりです。
- 品名 / サービス名(必須)
- 備考(サブ行・任意) — 品名の下に小さく表示される補足テキスト。内訳メモや作業内容の説明に使えます
- 数量(必須・デフォルト1)
- 単位 — 「式」「時間」「個」「月」など自由入力
- 単価(必須)
- 税率区分 — 10%(標準)/ 8%(軽減)/ 対象外
各行の右端にある「↑↓」ボタンで並び替え、ゴミ箱アイコンで削除できます。最低1行は必要です。
ステップ4 — 金額設定と電子印影を設定する
画面下部の金額設定セクションで、計算ルールを選びます。
- 内税 / 外税 — 取引先からの指示があればそれに合わせます。指示がなければ「外税(税抜表示)」が一般的です
- 端数処理 — 切り捨て / 切り上げ / 四捨五入。インボイス制度では「請求書全体で税率ごとに1回」の端数処理が原則です。デフォルトは切り捨て
- 源泉徴収あり / なし — トグル横の「?」アイコンに簡単な説明があります。デザイン・ライティング・翻訳など、源泉徴収対象の業務で取引先から「源泉あり」と指定された場合はONにします
源泉徴収をONにすると、後述の計算式で自動的に税額が引かれます。
電子印影は、テンプレートA・Bを選んでいる場合のみ表示されます。
- テキスト自動生成 — 氏名や屋号を最大6文字で入力すると、朱色(#C83232)の二重丸の中に明朝体でテキストが入った印影をリアルタイム生成。文字数に応じて1〜2文字は中央配置、3〜4文字は2行×2列のように自動レイアウトされます
- 画像アップロード — PNG/JPG・最大1MBに対応。透過PNG推奨。ブラウザ内で処理されるためサーバー送信はありません
電子印影はlocalStorageに保存されません(セキュリティ上の理由)。テンプレートCを選んでいる場合はこのセクションが非表示になり、PDF上には物理印鑑用の朱色点線円が描画されます。
ステップ5 — PDFをダウンロードする
画面右側(モバイルでは下部)のプレビューに完成形のPDFがリアルタイム表示されているので、発行者・宛先・品目・金額、登録番号・税率区分・源泉徴収額、振込先口座の誤字を確認したら、「PDFダウンロード」ボタンをクリックします。A4縦のPDFがブラウザに保存されます。
ファイル名は「請求書_YYYYMMDD_宛先名.pdf」のような形式で自動生成されますが、ダウンロード時に好きな名前に変更して構いません。
適格請求書(インボイス制度)の必須記載事項
インボイス制度(2023年10月開始)では、適格請求書として認められるために以下6項目の記載が必須です(消費税法第57条の4第1項)。
- 発行者の氏名又は名称及び登録番号 — Tから始まる13桁の番号
- 取引年月日 — 請求書の発行日または商品・サービスの提供日
- 取引内容(軽減税率対象品目の旨) — 軽減税率8%の品目には※マークなどの印を付ける
- 税率ごとに区分した対価の合計額及び適用税率 — 10%対象の合計、8%対象の合計
- 税率ごとに区分した消費税額等 — 税率ごとの消費税額
- 交付先の氏名又は名称 — 宛先(会社名や個人名)
本ツールでは、登録番号を入力すれば1〜6すべてを自動でレイアウトに反映します。登録番号が未入力の場合は、登録番号の行自体を非表示にした「通常請求書」として出力されます。免税事業者の方もそのまま使えます。
なお、インボイス制度の経過措置(2026年5月時点では仕入税額控除80%)の詳細は、税理士や所轄の税務署にご確認ください。本ツールは書類作成を補助するもので、税務的な判断を提供するものではありません。
テンプレート3種の使い分け
| テンプレ | 用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| A 封筒窓対応 | 印刷→長3封筒で郵送 | 宛名が封筒の窓(90×45mm)に合う位置に固定 |
| B PDF送付用 | メール添付・チャット送付 | デフォルト。モダンなデザインで画面表示に最適化 |
| C 印鑑スペース付き | 印刷→物理印鑑→送付 | 朱色の点線円が印鑑位置に描画。トラディショナルな書式 |
選び方の目安は、メール/チャット中心ならB、大企業との取引で原本郵送を求められるならA、取引先から「印鑑が必要」と言われたらCです。迷ったらBで始めて、必要に応じて切り替えてください。
源泉徴収の設定方法
源泉徴収とは、特定の報酬を支払うときに支払い側があらかじめ所得税を差し引いて納付する制度です。フリーランスがよく遭遇する対象業務には、原稿料・デザイン料・翻訳料・講演料・通訳料などがあります。
計算式(2026年5月時点)
報酬額が100万円以下の場合:
源泉徴収税額 = 報酬額(税抜) × 10.21%
報酬額が100万円超の場合:
源泉徴収税額 = (報酬額 - 1,000,000) × 20.42% + 102,100
10.21%・20.42%という半端な数字は、所得税10%(または20%)に復興特別所得税(×1.021倍)を上乗せした結果です。
ツールでの設定
源泉徴収トグルをONにすると、税抜金額を基準に自動計算されます。「税込金額を基準にする」オプションも用意しているので、取引先から「税込で源泉してほしい」と指示された場合は切り替えてください。源泉徴収税額の1円未満は切り捨てです。
源泉徴収の対象になるかどうかは支払い側(取引先)が判断するルールなので、迷ったら取引先の指示に従うのが確実です。「源泉してください」と言われたらON、何も言われなければOFFで問題ありません。
データの保存について
入力内容は次のように扱われます。
- localStorageに保存するもの — 発行者情報(氏名・住所・登録番号・振込先)、最後に使った設定(税込/税抜、端数処理、源泉徴収ON/OFF、テンプレート選択)
- 保存しないもの — 電子印影(テキスト・画像とも)、宛先情報、品目明細、過去の書類データ
保存先はブラウザのlocalStorageのみで、サーバーへの送信は一切ありません。共有PCをお使いの場合は、使用後にツール上部の「保存データを削除」ボタンからデータを消去してください。
宛先や品目を保存しないのは、過去の書類が誤って次の取引先に紛れ込む事故を防ぐためです。毎回ゼロから入力する設計にしています。
よくある質問
Q. 登録番号がなくても使えますか?
A. はい。登録番号を入力しなければ「通常請求書」として出力され、PDF上で登録番号の行自体が非表示になります。免税事業者の方や、これから登録予定の方もそのまま使えます。
Q. 源泉徴収はどう設定すればいい?
A. 報酬の源泉徴収あり/なしをトグルで切り替えできます。100万円超の場合の累進計算式(10.21%/20.42%)にも対応しています。対象になるかどうかは取引先の指示に従うのが確実です。
Q. 見積書から請求書に変換できますか?
A. 書類タイプの切替で、同じ入力内容を保持したまま見積書↔請求書を変換できます。見積書の内容で受注が決まったら、同じ画面で「請求書」に切り替えるだけでそのまま発行できます。
Q. ブラウザを閉じるとデータは消えますか?
A. 発行者情報と設定はブラウザのlocalStorageに保存されるため、次回開いたときに自動で入力された状態になります。品目・宛先・電子印影は保存されないので、ブラウザを閉じるとリセットされます。
Q. 軽減税率(8%)と標準税率(10%)が混ざっていても使えますか?
A. はい。品目ごとに税率区分を選べます。PDF上では税率別に小計と消費税額が分けて表示され、適格請求書の要件(税率ごとに区分した対価の合計額及び適用税率)を満たします。2026年5月時点の消費税率に対応しています。
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