公開日:2026年5月18日 最終更新日:2026年5月18日

適格請求書(インボイス)の書き方|必須6項目と登録番号の取り扱い

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2023年10月にインボイス制度が始まってから、取引先から「インボイス対応の請求書で出してください」と依頼されることが増えました。この記事では、適格請求書(インボイス)の必須6項目を中心に、登録番号の取り扱いから免税事業者の選択、経過措置までを書き方の視点で整理します。

登録番号を取った人もまだ取っていない人も、どちらの立場でもそのまま使えるよう、ツール上の実装例とあわせて解説します。請求書作成ツールで実際に作りながら確認できます。

適格請求書をブラウザで作成する


適格請求書(インボイス)とは

適格請求書とは、買い手が消費税の仕入税額控除を受けるために必要な記載事項を満たした請求書のことです。2023年10月1日に開始された「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」のもとで、買い手は適格請求書を保存していないと、その取引にかかる消費税を仕入税額控除できません。

通常請求書との違い

項目通常請求書(区分記載請求書)適格請求書(インボイス)
発行者の登録番号不要必須(T+13桁)
税率ごとの対価合計必要必要
税率ごとの消費税額不要必須
軽減税率対象の旨必要必要
発行できる事業者制限なし適格請求書発行事業者のみ

通常請求書(区分記載請求書)でも軽減税率の区分は必要でしたが、適格請求書ではさらに「登録番号」と「税率ごとの消費税額」が必須になります。

開始時期と経過措置

インボイス制度は2023年10月1日に開始されました。免税事業者などインボイスを発行できない事業者からの仕入れについては、段階的に仕入税額控除が縮小される経過措置が設けられています(詳細は後述)。

本記事の税制情報は2026年5月時点のものです。最新の取り扱いは国税庁の公式サイトで確認してください。


適格請求書の必須6項目

消費税法第57条の4第1項で定められた、適格請求書の必須記載事項は次の6項目です。

#項目記載内容注意点
1発行者の氏名又は名称 + 登録番号T+13桁の登録番号未登録は通常請求書扱い
2取引年月日取引のあった日付月単位請求の場合は記載例あり
3取引内容(軽減税率対象品目の旨)品名 + 8%軽減税率対象なら ※飲食料品・新聞など
4税率ごとに区分した対価の合計額 + 適用税率8%対象・10%対象を区分内税/外税どちらでも可
5税率ごとに区分した消費税額等各税率の税額端数処理は1請求書につき税率ごとに1回
6交付先の氏名又は名称宛先敬称はマナーとして付ける

それぞれの項目を、書き方の観点で深掘りします。

1. 発行者の氏名又は名称 + 登録番号

発行者欄には、個人事業主なら本名(または屋号)、法人なら正式な会社名を記載します。そのうえで、**登録番号(T+13桁)**を併記する必要があります。

登録番号が記載されていない請求書は、たとえ他の項目を満たしていても適格請求書としては認められません。買い手は仕入税額控除を受けられなくなる(または経過措置に基づく一部控除になる)ため、登録番号の表示は最も重要な要素です。

2. 取引年月日

サービスを提供した日、または商品を引き渡した日を記載します。月単位でまとめて請求する場合は「2026年5月分」や「2026年5月1日〜31日」のような期間表記でも問題ありません。

請求書の発行日(請求日)と取引年月日は別物です。両方を分けて記載するか、月締め請求の場合は「請求日: 2026/5/31」「取引年月日: 2026/5/1〜5/31」のように整理すると、買い手側の経理処理がスムーズになります。

3. 取引内容(軽減税率対象品目の旨)

品名やサービス名を記載します。軽減税率8%の対象品目(飲食料品・新聞など)が含まれる場合は、その旨を明示する印が必要です。一般的には品名の末尾に「※」を付け、表の下に「※は軽減税率8%対象」と注記する方式が使われます。

フリーランス・個人事業主の取引(業務委託・コンサル・ライティング等)はほとんどが標準税率10%なので、軽減税率は「会議の弁当代を立替請求するとき」「物販系で食品を扱うとき」などに気を付ければ十分です。

4. 税率ごとに区分した対価の合計額 + 適用税率

請求書全体で、税率ごとに対価(税抜または税込)の合計額を分けて記載します。

標準税率 10%対象: 100,000 円
軽減税率 8%対象:  10,000 円
対象外:            5,000 円

「適用税率」も明示が必要なので、上の例のように「10%対象」「8%対象」と税率を明記してください。内税表示(税込合計)でも外税表示(税抜合計)でも、どちらでも要件は満たせます。

5. 税率ごとに区分した消費税額等

税率ごとに、消費税額を分けて記載します。これは適格請求書で新たに必須となった項目で、通常請求書(区分記載請求書)にはなかった要件です。

10%対象 消費税額: 10,000 円
8%対象  消費税額:    800 円

端数処理は「1請求書につき、税率ごとに1回」までというルールがあります(後述)。行ごとに端数処理してから合計すると、合計税額がずれて要件違反になることがあるので注意してください。

6. 交付先の氏名又は名称

宛先(買い手)の氏名または会社名を記載します。法人なら「株式会社○○ 御中」、個人なら「○○ 様」と敬称を付けるのが商慣習です。敬称の有無は適格請求書の要件には含まれませんが、付けないと失礼にあたります。


登録番号(T+13桁)の取り扱い

登録番号の構造

適格請求書発行事業者の登録番号は、先頭が「T」、その後に13桁の数字が続く構造です。

例: T1234567890123

13桁の数字部分は、法人の場合は法人番号と同じ、個人事業主の場合は法人番号とは無関係に新規発番されます。登録すると、国税庁から登録通知書が郵送(または電子データ)で届きます。

確認方法

買い手側は、受け取った請求書の登録番号が本当に有効なものかを国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で照合できます。発行者側も、自分の登録番号が正しく公表されているかをこのサイトで確認できます(「公表サイトで確認」と覚えておけば十分です)。

ツール上での入力と表示

curythm の請求書作成ツールでは、発行者情報セクションに登録番号の入力欄があります。

  • Tプレフィックスは自動付加されるので、13桁の数字部分だけ入力すれば OK
  • 13桁未満や13桁を超える数字はバリデーションで弾かれる
  • 入力した登録番号は localStorage に保存され、2回目以降は自動入力される

PDF出力時には、発行者名の下に「登録番号: T1234567890123」のように表示されます。

未入力時は「通常請求書」として出力

登録番号を空欄のままPDF出力すると、登録番号の行自体が非表示になり「通常請求書」として出力されます。免税事業者のまま事業を続ける方も、空欄で問題なく使えます。


免税事業者・経過措置の扱い

免税事業者は登録番号を発行できない

課税売上高が年1,000万円以下の事業者は、消費税の納税義務が免除される「免税事業者」です。免税事業者のままだと適格請求書発行事業者には登録できず、適格請求書も発行できません。

つまり、登録番号を取得するには「課税事業者になる」という選択が必要です。これは免税事業者にとって大きな判断ポイントになります。

取引先が仕入税額控除を受けるかで判断

判断の軸は、取引先(買い手)が仕入税額控除を受ける必要があるかです。

取引先インボイス登録の必要性
一般消費者(BtoC)不要。仕入税額控除と無関係
簡易課税の事業者不要(買い手側で計算するため、適格請求書がなくても影響なし)
本則課税の事業者あった方が望ましい。経過措置の対象期間中は緩和あり

BtoCのフリーランス(ヨガ講師・ハンドメイド販売など)であれば、登録しない選択も十分合理的です。一方、BtoBでクライアントが本則課税の中堅・大企業であれば、登録した方が取引継続上は有利になります。

経過措置のタイムライン

免税事業者からの仕入れについて、買い手側が仕入税額控除を受けられる割合は次のように段階的に縮小されます。

期間仕入税額控除の割合
2023年10月〜2026年9月80%
2026年10月〜2029年9月50%
2029年10月以降0%(控除不可)

2026年5月時点では「80%控除」の期間中ですが、2026年10月から「50%控除」の期間に入ります。つまり経過措置の保護は徐々に薄くなっていく構造です。

「登録番号なしの請求書」を選ぶ判断基準

  • 取引先がほぼ一般消費者 → 登録不要
  • 取引先が簡易課税の小規模事業者 → 登録不要のままで影響少
  • 取引先が本則課税で、消費税分を上乗せして請求できている → 登録した方が長期的には有利
  • 取引先から「インボイスの登録番号がないと取引できない」と言われた → 実質的に登録が必要

最終的には自分の取引構成と、課税事業者になった場合の納税額を税理士に試算してもらうのが確実です。


軽減税率と標準税率の混在

軽減税率8%の対象品目

軽減税率8%が適用されるのは、主に次の品目です。

  • 飲食料品(外食・酒類を除く)
  • 定期購読契約の新聞(週2回以上発行)

フリーランスの請求でこれらが出てくるのは限定的ですが、たとえば「打ち合わせ時の弁当代を立替請求」「クライアント先で購入した雑誌(新聞)を経費精算」などのケースで該当します。

標準税率10%の対象品目

上記以外のサービス・商品(業務委託費・コンサル料・デザイン料・物販など)は、原則として標準税率10%が適用されます。

同一請求書で混在する場合の表記ルール

軽減税率と標準税率を同じ請求書に混ぜる場合は、次のルールに従います。

  • 軽減税率対象の品目には「※」などの印を付ける
  • 表の下や末尾に「※は軽減税率8%対象」と注記する
  • 税率ごとに「対価の合計額」と「消費税額」を分けて記載する
品目                              数量  単価     金額
─────────────────────────────────────────────
業務委託費(5月分)                 1   100,000  100,000
資料用書籍(※)                    1    10,000   10,000
─────────────────────────────────────────────
※は軽減税率8%対象

10%対象計: 100,000 円  消費税: 10,000 円
 8%対象計:  10,000 円  消費税:    800 円
合計:      120,800 円

ツールでの設定

請求書作成ツールでは、品目行ごとに「10%(標準)/ 8%(軽減)/ 対象外」の税率区分を選択できます。混在しても、PDF出力時に税率別の小計・消費税額が自動で分けて表示されます。


インボイス対応の請求書を作るチェックリスト

請求書を発行する前に、次の項目をすべて満たしているか確認してください。

確認項目チェック
発行者の氏名 / 名称・登録番号(T+13桁)
取引年月日(または対象期間)
取引内容(軽減税率対象は ※ 印)
税率別の対価合計と適用税率
税率別の消費税額
交付先の氏名 / 名称

ひとつでも欠けていると、買い手側で仕入税額控除が受けられなくなる可能性があります。


端数処理のルール(インボイス制度)

インボイス制度では、消費税の端数処理について明確なルールがあります。

1請求書につき税率ごとに1回

端数処理は、1請求書につき、税率ごとに1回までと決められています。

NG: 各行で端数処理 → 合計
OK: 税率別に合計 → 端数処理(1回)

つまり「品目行ごとに消費税を計算して切り捨て、それを合計する」という方法は認められません。先に税率ごとの対価を合計してから、その合計に対して1回だけ端数処理を行います。

切り捨て・切り上げ・四捨五入は任意

端数処理の方法は、事業者が任意で選べます。

  • 切り捨て(最も一般的)
  • 切り上げ
  • 四捨五入

どれを選んでも問題ありませんが、取引先や自社内で統一しておくのが望ましいです。

ツールでの設定方法

請求書作成ツールでは、金額計算設定セクションで「切り捨て / 切り上げ / 四捨五入」から選べます。デフォルトは切り捨てです。一度選んだ設定は localStorage に保存されるので、毎回選び直す必要はありません。


インボイス対応の請求書はツールで簡単に

ここまでの内容を毎回 Excel テンプレートで手作業で整えるのは、月1〜2枚しか発行しないフリーランスにとっては負担が大きい作業です。curythm の請求書作成ツールは、適格請求書の必須6項目を満たすレイアウトをデフォルトで備えています。

  • 登録番号(T+13桁)入力欄あり。未入力時は自動で「通常請求書」モードに切り替え
  • 品目行ごとに「10% / 8%(軽減)/ 対象外」を選択。税率別の小計・消費税額を自動計算
  • 端数処理は「切り捨て / 切り上げ / 四捨五入」から選択。税率ごとに1回の処理を自動適用
  • 内税 / 外税 / 源泉徴収のトグル切り替え
  • 発行者情報はブラウザに自動保存(サーバー送信なし)
  • A4縦のPDFをダウンロード

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請求書作成ツールを使う


よくある質問

Q. 登録番号を取った方がいいかどうか、自分では判断がつきません。

A. 取引先の構成(一般消費者 / 簡易課税 / 本則課税)と、課税事業者になった場合の納税負担を試算する必要があります。最終的には税理士や所轄の税務署への相談が確実です。判断軸の整理はこの記事の「免税事業者・経過措置の扱い」を参考にしてください。

Q. 登録番号を取ったあとに、屋号や住所が変わったらどうすればいい?

A. 国税庁に「変更届出書」を提出することで、公表サイト上の情報を更新できます。請求書を発行する側でも、新しい情報に差し替えてください。詳細は公式サイトで確認してください。

Q. 軽減税率の品目がないなら、税率の表記は省略できますか?

A. 軽減税率対象がなくても、適用税率(10%)と税率ごとの消費税額の記載は必要です。「※は軽減税率」の注記は不要ですが、「10%対象計」「10%対象消費税額」は記載してください。

Q. 古い区分記載請求書のフォーマットでも、インボイス対応になりますか?

A. なりません。区分記載請求書では「登録番号」と「税率ごとの消費税額」が要件外でした。インボイス制度ではこの2点が必須なので、フォーマットの差し替えが必要です。請求書作成ツールを使えば、適格請求書のレイアウトでそのままPDF出力できます。

Q. 経過措置の80%控除・50%控除を、請求書側で表示する必要はありますか?

A. ありません。経過措置は買い手側の仕入税額控除の計算ルールであり、売り手(発行者)側の請求書には記載義務はありません。発行者は通常どおり「登録番号なしの請求書」を出すだけで問題ありません。


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Webディレクター。ブラウザ完結ツールを開発・運営。

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